ピナイサーラの滝


 

 
基礎データ
・場所:西表島上原港から車で10分→徒歩5分→カヤックで30分→トレッキングで約20〜30分(目指す場所により異なる)
・規模:落差約60m。そこそこ大きい。滝壷ダイブ可。
・備考:基本的にはツアーに参加して連れて行ってもらうが、慣れればカヤックだけ借りてガイドなしで到達も可能。
また、カヤックなしのトレッキングのみで目指せる道もあるとか。詳細は不明だが、恐ろしく時間と体力を使う可能性大。初心者はやってはいけない。

うまく出ないので自力で探してね

 


 

 西表島と言えばイリオモテヤマネコ・・・は簡単には見えないので、行く先はやはり滝です。  シーズンによって観光客に選ばれる滝はそれぞれですが、今回は友達の提案でピナイサーラになりました。



 ピナイサーラとは「ひげのような滝」という意味。なので「ピナイサーラの滝」と言うと「ひげのような滝の滝」になってしまいます。 それこそローマ字表記の「tonegawa river」とか。なので正式には「ピナイサーラ」だけがいいのかもしれませんね。

 まずはカヤックで滝の近くを目指します。・・・が。自分、カヤックは非常に苦い経験があります。 7月の名蔵ダム祭で友達と二人で乗った「無料体験カヌー」が全く意図しない方向に進み、他のカヤックや立ち木にがっつんがっつん当てたことがあるのです。 しかも今回はその友達も一緒。お互い絶対一緒には組まないどこうね〜って言ってたのに・・・
「カヤックは一人乗りと二人乗りがあります。どれに乗りたいですか?」
というガイドの返事に対し、二人乗りを希望したのは自分ら2人だけで、残り4人のヤロウはみな一人乗りを希望したのです。 いや、うちら一緒に組んだらまずいんだって!!!

カヤックを浮かべていざ出発!右奥に見えるのが目指す滝。


 彼女は一人がとても不安だったようなので、結局私が一人乗り、彼女はガイドと二人乗りになりました。

 しかし。いざカヤックを浮かべて川面にオールを差し入れると・・・予想していたのと違い、カヤックが思う通りに進みます。 というよりむしろ、このメンバーの中で一番うまいんじゃない?くらいの勢い(笑

 マングローブが生い茂る川の流れは非常にゆったりで、上り、下りともにほとんど差を感じることがなく非常にラクです。 しばらく漕いでいると、前方遠く山の中腹から勢いよく水が噴出しているのが見えました。
「あれが目指す滝だよ。最近だいぶ雨が降ったからすごい勢いで流れてるね。」
 実際行くのは滝の上と滝つぼ。30分ほどのカヤックを終え、水場に足を突っ込みながらトレッキングの開始です。


左、トレッキング開始場所。右、私の足に飛び移ってきたヤエヤマキノボリトカゲ。


 最初の最初こそ道が平坦だったものの、ほどなく急勾配の連続に。 雨降り後の赤土むき出しの斜面は非常に滑りやすく、ガイドが
「ここは滑るから注意してね」
と言った場所では必ず誰かが悲鳴をあげる始末。 トレッキングの助けになるはずの備え付けロープでさえ、
「もう何年前に設置されたか解らないから全体重かけちゃダメだよ」
とのこと。そんなロープなら早く撤収して新しいのつけろよ!!これだから沖縄の人間は。。 、と言いつつもこういう商売してるのって沖縄在住の人間じゃないことが多いんだよね。


道半ばでひとまず全員集合。


 30分ほど急勾配を上り、残りわずかは平坦な散策路・・と、急勾配の下り路orz

 生い茂った亜熱帯の木々しか見えない道半ば、ふと激しい流れの音が聞こえてきました。 これは・・・近い!?
 ロープを伝って斜面を降りると、目の前で水の流れが行く手を阻んでいました。これを渡れと・・?

「私の指示に従って川を渡ってください。流れで見えないけど穴が空いているところもあるしコケで滑るところもありますよ。」

 下流を見ると、もうすぐ滝です。
滝は目の前。流れに足をとられないように気をつけて進む。


ここで流れに足をとられたらひとたまりもありません。 みな緊張の面持ちで川を渡って、そしてついに・・・

「うわ〜〜〜!!すっごい見晴らし!!!」

 滝の水が吹き出る場所にたどり着きました。揃いもそろってすんごい興奮です。

「いいですか、滝つぼを眺める時は決して立ったまま見ずに、うつ伏せの姿勢で見てくださいね。」

 一番手で滝つぼ見に行ったのは私でした(笑 

眼下に見える滝つぼ・・・。見よ、人がまるでゴミのようだ。


 そろりと水流が落下している方を見下ろすと、意外にも滝つぼはそんなに大きくもなく、むしろ水量の割に小さな印象を受けました。 むき出しのゴツゴツした岩が下に待ち構えており、万が一落下した場合の惨事が頭を過ぎります。 もう一度視線を流れに戻すと風に煽られながら逐一その形は変わり、チラチラと虹の姿が見え隠れします。

 さて、ここで困った自体が。
 下を覗いてすぐに引き上げようと思ったのですが高所恐怖症にはてきめん、情けないことに体が動かなくなってしまったのです。 落下する水流が巻き起こす上昇気流もすさまじく、ヘタに動けば風と眩暈に足をすくわれて60m下に真っ逆さまに落下しそうです。 硬直してると深々と被っていたキャップがぽーんと飛ばされました。 しかしなお、それを取りに行こうという気力が沸いてきません。

「帽子飛んだよー!」
という声がかかっても

「余裕ない!」

と答えるに留まりました。

 やっと動く気力を取り戻した時にはヤロウどもは下を覗きながらお互いにちょっかい出し合ったりと、 命を差し出して遊ぶ遊ぶ。
 しばらく周辺で遊び、ガイドが用意したお昼の八重山ソバ(?)をいただく。 その日はおりしもソバの日、気付いたのは帰宅後でしたが。


左、滝つぼの正しい眺め方。右、昼食のソバをいただく。



 次に目指すはお待ちかねの滝つぼ。
 来た道を戻り、カヤックを係留してある場所からほぼ川沿いに歩くこと20分。 緑の亜熱帯ジャングルからゆるりと視界が開けたかと思うと、火照った体を心地よく冷やすようにしぶきが飛び散る大きな水の流れが現れました。 轟音を立てながら落下する水流。見上げると先ほどまで遊んでいた流水口が遥か高みに見える。

さっきまであの上にいたんだよな・・・
なんというか、増水の影響でとにかく勢いが激しい。水もキレイとは言えず、濁っている(普段からかも)。

「ね、ね、滝つぼ飛び込もうよ!」


暑さも相まって涼をとりたい自分はキラキラと目を輝かせて男共に声をかけるも、反応が鈍い。

「水冷たいし・・・」

 ・・・・。
 お前らそれでも男かーーーーー!!!???
 私は着衣をばばっと脱ぎ捨て水着一枚になり、もう一人の女性と共に滝つぼ目掛けてダッシュ。水温は上流ですでに確認済み。

「とりゃっ!!」

 バッシャ〜ン・・・。
 う・・・うあぁぁ〜〜〜・・・気持ちいい!サイコー!!!
 勢いよく飛び込んで全身で水の快感を感じる。 トレッキングで火照った体にちょうどいいと言える心地よさ。 普段より広く、深くなっている滝つぼでそりゃもう夢中で平泳ぎでした。


最後に滝をバックに1枚
 後から男性陣も水温を確かめながら恐る恐る入ってくるが、ものの5分で撤退。 寒いんだとさ。陸の上でガイドさんに温かなお茶をもらいながらそろってガタガタ震えてました。
 女二人はそんな男性陣を尻目に20分近く水の中で思い思いに遊んでいました。女、強し!!

 帰りは同じルートで川辺を歩き、カヤックにのってつつがなく散策終了。
 トータルではそこそこの時間ですが、途中途中の休憩や道のりを考えると初心者向けのコースでしょうね。




 

(2009.10.17)


 

 

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