黒 島



 

基礎データ
・人口: 約200人強
・面積: 約10ku
・外周: 約12km
・主要産業: 畜産業(牛)
・牛の数: 約3000頭
・名物: 野生のクジャク、ウミガメの産卵
・備考: 自転車で見て回るなら3時間で十分。

黒島の観光マップ
 

 八重山諸島の有人島の中でもとりわけ知名度の低い黒島。
 石垣島、西表島、竹富島、与那国島、波照間島は誰もが知っているし、鳩間島や小浜島、由布島もメディアのおかげで比較的有名。
 黒島が無名なのは、全てにおいて中途半端だからなのかも・・・。


 母親の「八重山全島制覇」宣言により、GW5連休の1発目は黒島になった。

「波照間、竹富、西表、小浜、由布島は行ったことあるから黒島行こ〜☆」

 こんなこと言われたら別の島に行きたいという意思が主張できず、おとなしく従うしかありませんよね。自分よわっ。。


 黒島へ向かう八重山観光フェリーの中は、GWとは思えないほどガラガラ。離島桟橋(フェリーターミナル)は離島へ向かう人間で溢れ返っていたのに。
 いかに・・・いかに黒島は人気がないかということが覗えた!!かわいそうに黒島!!

「GW最初はやっぱりメジャーな島に行きたいでしょ?だから黒島は後回しなんだよ。」

 母親がマジョリティ観光客の気持ちを代弁してくれた。しかし自分なら5日の休みじゃ黒島という選択肢は、ない。


黒島のどこにでもある風景。

 黒島に降り立ち、港近くのレンタサイクル屋で自転車を借りる。自分の行った店はどうやらハズレだったみたいで、前カゴとか錆びすぎて荷物落ちそう(笑)。でもどこのレンタサイクルも1時間200円。やられた。。
 黒島は高低差がほとんどないし島自体が小さいので、体力に多少自信がなくても自転車で十分です!


 ところで黒島は別名、牛の島。島の80%の人が畜産業で生計を立てているらしく、牛の数は島民の10倍以上。そんなものだから、自転車をこいで2〜3分で牛の群れがお目見え。これから先も、どこに行っても牛ばかりでした。。


 最初に向かったのは黒島研究所。ぼろいけど他にこの島の資料が見られそうな場所がないのでひとまず入る。入館料は300円。

黒島研究所。人間と牛の数に注目。

 黒島で最も有名なのは恐らく野生のクジャク。昔小浜島のホテルが飼ってたクジャクが逃げ出し、黒島まで飛んできて繁殖してしまったらしい。今はすっかり害鳥扱いされ、駆除までされる始末。聞いた話だと鳥と卵、それぞれに懸賞金が懸けられているとかなんとか・・・。

クジャク。狭いスペースにたくさん・・・

黒島研究所に入ると、
「ヒュィア”−−−ッ!!」
というネコとも子供の叫び声ともつかない音が鳴った。これ実はクジャクの鳴き声。母親曰く、キジの鳴き声に似ているとのこと。
ここではクジャクが飼育されています。この建物にいると頻繁にクジャクが鳴くので、物珍しい声を堪能してください。
剥製、標本がたくさん。ヤシガニはきもい。

 他には黒島で見られる野鳥と生き物の剥製、標本、海の生物展示・・・この辺りはまぁありふれたものですが、ここには宇宙から落ちてきたロケットの残骸(!)なんかがあります。海上に降ってきて、流れ流れて黒島に漂着したものらしいですけど、こんなものがマッハのスピードで降ってくるかと思うと血の気が引くわ。

 研究所を出て、次の目的地は島のほぼ中心にある黒島を見渡す展望台。しかしこれ登って愕然、近くの木々に邪魔されて海が見えない!どこが展望台だ、がっかりだよ! 展望台からの風景。悪くはないんだけど。

 しかもこの時、自転車のカゴに置いていた弁当ガラのゴミ袋がカラスに狙われ、近くの道路端で荒らされてしまいました。母親が走って取り返すも後の祭り。

左:盗ったゴミ袋をあさるカラス。右:母親の自転車にとまりまだ何かを狙うカラス。

 研究所の入り口に

「自転車にゴミ袋を置いておくとカラスに荒らされます」

と注意書きがあったのはまさしくこのことか・・・。自転車から離れて1分も経ってないんですよ。ここのカラスどれだけ飢えてるんだ。。ともかくこの島のカラスには要注意。
(これ以降、自転車から離れる際にはゴミ袋がカラスの目に触れないよう細心の注意を払いました)


 黒島には、日本の道100選に選ばれた「白い道」なるものがあるそうなので、それを見に行きました。日本の道100選。こんなド田舎に日本で100しかないものがあるとは。期待しちゃいますよね。
 ・・・ところが。どこまで見ても白い道は見えない。100選に選ばれるほどの素晴らしい道はどこにも見えません。
左:日本の道100選の碑。右:白い道を探すも・・・

「ねえ・・・舗装されたんじゃない??」

 多分そうです。メインストリートから民家へ延びるいくつかの小道はまだ未舗装で、「白い道」と呼べそうなものがいくつかあります。が、中には近年舗装された状態が見て取れる道が。

 

こんな何もない場所なのに、どうして残しておかなかったのか。



 100選の石碑がなんだか虚しく思えました。これ建てた後で舗装したんだろうなぁ・・・ばか。。


このあたりは民家が多くてペット(?)も多い。

 次は黒島灯台。100選の碑からほぼ真っ直ぐ3kmほど先にあるはずの灯台。こげどもこげども、見えない。じっと先を見る・・・。
 道途中にはたくさんの牛がいます。そういえばここにくるまで島の人間10人くらいしか見てない。牛は数え切れないくらい見た。ほんとにここ牛の島だよ。そのうち牛に占拠されるんじゃないかという勢いで牛が多い。


 ほとんど灯台がある場所に近づいた時、初めて目標のブツが見えてきた。これまた展望台と同じく、木の陰になって見えていなかった模様。この島よ、観光客なめとんのか。
 しかも灯台、めちゃぼろい。何もないからこれを観光名所と位置づけないといけなかったのか。灯台を眺めることもなく、完全に素通りしてそのまま海に出た。
しょぼい灯台下に広がる素晴らしい風景。

 視界のイマイチな灯台からいきなりズバッと開ける海。海岸はサンゴ岩特有のゴツゴツガサガサした足場。この眺めはドラマのロケにも使われそうな勢いがある。
 今日は快晴。空も海も沖縄らしい青。母親と離れてしばらく写真撮影にいそしんだ。もしかしたら黒島で一番いいのはここじゃないか?

海の写真撮りまくった。


「3時5分の船で帰ろう。これ逃したら4時だよ。もう見るものないよ。」

 現在2時35分。ここから港までは約6km。体力のない若者(?)か、健康だが還暦が見えそうなご老体か。どちらが足をひっぱるかと考えながら、何年ぶりかと思うほどの猛ダッシュで自転車をこいだ。
 途中までは下りなのでよかった。申し訳程度に仲本海岸を見たのが2時45分。ところがここから港まではごくゆるい上り道。残念な母親は途中で音をあげたが、私はこれを乗り過ごして1時間ムダにするのはイヤなので、はっぱをかけるためにも母親を引き離してレンタサイクル屋に向かった。

 レンタサイクル屋についたのは3時ぴったり。自転車を店の前に止め貸し主に挨拶もせず、猛然と走り港へ向かい高速艇に飛び乗った。

「ひぃ・・・ひぃ・・・。あ・・・足が・・・」

 しばらくはまともに会話できませんでした。
 ひとつだけ、

「・・・クジャク、いなかったね」

 害鳥とまで仇されているクジャクを1匹も見かけませんでした。それらしき鳴き声は何度か聞こえたけど、日中は茂みに隠れているそうで見られなかったんですよね。その辺で歩いているクジャクが見たければ、黒島に宿泊するといいかもしれません。宿泊費くらい稼げるかもね。

 

(2009.05.02)


 

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