ホタル乱舞



 

基礎データ
・見られる場所: 石垣島天文台車道沿い、バンナ岳遊歩道。市街地から車で約10分。
・時期: 4月〜6月。種類によりばらつきあり。
・時間: 日没から30分がピーク
・見られる種類: ヤエヤマヒメボタル、キイロスジボタル
・マナー: 
 @目的地が近づいたらヘッドライトは消して走行する。
 Aストロボをたかない、懐中電灯を使わない。
 Bホタルを取ろうと茂みに入らない。非常に危険。
 C路駐なので、周囲の迷惑にならないように止める。
・備考: 山の気温は意外と低いので羽織るものがあればベター。

 今回見た石垣島天文台スポットはこちら。

 


 

「昔飛行機の機内誌で見た、石垣のホタルの写真がもぉんのすごくってね。あれを見たいと思ってたんだよ!」

 母親がいきなりホタルが見たいと言い始めたのが全ての始まり。ホタルねー、へー。そういえば小さいころに地元で見たのと真栄田の遊歩道で見たのと、見た記憶といえばそれくらいかぁ。
 タイミングよく乗ったカーラ山交通のタクシー設置パンフに、ホタルツアーの文字が躍る。即座に母親がくいついて、勢いで予約。(ちなみにカーラ山交通のツアーはタクシーでスポットを巡るもの。所用時間は約1時間半で1台5,250円。4人までOK。)
 もちろん心の中では、場所を覚えて今後の石垣ライフに役立てようともくろんでましたが。



 南国の空に遅い黄昏がやってくる午後7時すぎ。
 我が家から出発したタクシーは市街地を抜け、石垣島天文台への上り道へさしかかった。ホタルポイントにはすでに数名の観光客がいて、最初のポイントでは路駐は困難とさらに上にのぼる。

「あっ!光ったよ!!」

 タクシーのヘッドライトにめげず、母親は道すがらさっそくホタルを発見した。

「えっ、どこっ!?」

 こんなとき、0.08の視力は涙が出そうです。。メガネを装備するも、しばらく視界を流れるは薄い闇に包まれた茂みのみ。

「ほら、あそこ人が集まってるでしょ?あそこが僕の一押しのポイントだからね。」

 タクシーの運ちゃんがそう言って、少しへこんだスペースにタクシーを止めた。
 メガネの曇りをしっかり落とし、タクシーを降りて5〜6人の集まる場所へてくてく歩く。

「あ、草むらの隙間から夜景が見えるよー・・・」

と言おうとした瞬間、


「ホタルだ!!すごいたくさんいる!!!」


 母親の叫びに、自分が夜景だと思っていたのはホタルの大群だったのだと即理解。夜景と勘違いするほどのホタルですよ、想像できますか!?
 ちなみに点滅を繰り返すのがヤエヤマヒメボタルで、ずっと光り続けるのがキイロスジボタル。

「ホタルは日没後から少しずつ光り始めて、30分でクライマックスになるよ。そこから徐々に数が減っていくんだ。」

 運ちゃんの解説が正しいとすると今は日没から約20分。もうかなりの数ではあるけど、ここからさらに増えるのかな??


 近くで見ているグループは少しホタルに飽きて別のモノに焦点を当てていた。 10mほどの高さの木に、懐中電灯の照らす先に見えるはオオコウモリ(フルーツバット)。日暮れ近くなってくると空に舞い立つ彼らは、一見するとカラスと見違うほどでかい。たまに電線に物体Xがぶらさがっているかと思えば、それがオオコウモリというオチもあるほどだ。
 そのオオコウモリは懐中電灯の光を嫌がり、背を向けてひょひょいと逃げていった。オオコウモリ・・・かわいい。。

「おいしいんだよ〜、昔は捕まえて食べたものさ〜。」

 興味なくはないけど、おっさんサラっとひどいこと言うわ。


 肝心のホタルはというと・・・宴もたけなわ、まるでクリスマスイルミネーション状態。
 爪の先ほどのわずかな光なのに、確実に真っ暗な茂みの主人公になっている。淡く小さな光がゆらり、ゆらりと夜空を這うように舞う。藪の奥、木の葉が密集する少し高い場所、そして私たちの手の届く場所・・・あるだけの空間が全て彼らのものだ。

 そんな彼らも光を放つ時間は短く、クライマックスを越えると少しずつ姿を消していく。盛大に闇夜を彩った光がなくなっていく寂しさは、まるで夏の花火の後のよう。沖縄にいると日本の情緒を感じることって少ないけど、これはきゅ〜んときたなぁ・・・。

 間違いなく、日本でも屈指の素晴らしいホタル乱舞。意外と知られていないけど、シーズンに石垣にいるなら見逃せない風景だと思います。




 追記。
 ホタルは車のヘッドライト等、強い光を浴びると一気に輝きを失い、元に戻るまで2分ほどかかります。この周辺を車で通るときにはホタルにも、見物客にも配慮した走行を心がけたいですね。
 また、ホタルの光は大変弱いのでどんなにがんばっても普通のカメラでは撮れません。間違ってストロボたかないように最初から諦めましょう。 

 

(2009.05.02)


 

 

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