於茂登岳(おもとだけ)


 

 
基礎データ
・場所: 登山口まで市街地から車で約20分
・標高: 526m
・頂上到達目安: 1時間半〜2時間
・レベル: 初級者向け
・備考: サキシマハブに注意。うるしが多いので肌の弱い人は長袖必須。

於茂登岳はこちら

 


 

 沖縄最高峰の山・・・というより、過去の歴史では沖縄で唯一の山として認知された於茂登岳。
 短期滞在ならまだしも、石垣に住んでいるなら必ず制覇したい場所のひとつ。

ここで車を止めるのかと思いきや
 GW最終日、朝目が覚めて「今日は絶対どこかに行こう」と思い、ネット上で行き着いた先がここ於茂登岳。ネットの事前情報(ブログ)では、上半身ハダカで道は緩いとあったのでサックリ行ってサックリ帰ってくる予定をたてた。

 さて、地図を見ても道路標識を見てもわかりづらいので2回ほどルートを外れながら登山口に到着。
 白銀を路肩に止めて砂利道を200mほど歩くと・・・そこに駐車場。なんだよ、駐車場あるなら看板立てとけよこんにゃろーー!!

 気を取り直してここから登山スタート。

至る所に水の流れ

 山の緑が濃い。というより完全に亜熱帯ジャングル。八重山は水が豊富なのか、道沿いに川のせせらぎが聞こえるほか、足下を潤すように道途中何度も水の流れに出くわした。
 しかし何がすごいかって、そこかしこに生き物の気配が漂う漂う!!自分が歩けばその分だけ前や後ろでカサカサ、ガサガサ。目についたので最も多かったのはニホントカゲ。繁殖の時期なのか知らないけど、一体どれだけいるんだろうと思うほどどこにでもいる!うん、君らの存在はよくわかった。だから別のものに出くわしたい。。
左がニホントカゲ。右が唯一出くわした別のトカゲ。

 ここは珍しい生物の宝庫らしく、虫取りの好きなおじさんが枯れ枝を切って中の虫を採取したり、長い網で木の上にいるカミキリムシを採取したりしている。休日なので、純粋な登山客もちらほら。

看板は登山者の味方・・・のはず。
 さてしばらくすると看板が見えた。

『頂上まで約40分、現在標高約250m』

 登り始めて30分くらいのところかな。事前情報では1時間半くらいとあったのにあと40分!?なんだ、意外とラクショーじゃん!!

 ところがこの看板から10分ほど歩いたところで下ってくる先客にこう言われた。

「今は、1/3くらいかなぁ。看板信じちゃだめだよー、実際はプラス10〜15分くらいだからね。あと、この先難所が2カ所あるよ、がんばって!!」


 Σ( ̄ロ ̄ll)ガーン 私の期待を返してくれ・・・。ついでに利子もつけろ。

山の水を飲みなさいってこと??
 すでに歩いてても鼓動が頭にぐあんぐあん響くほど脈があがっている。足の疲労も結構なものだ、さすがない体力。でも直感的に、休憩を取るとよけい辛くなるのではと思った。今は足のしんどさより脈拍数の上昇の方が苦しい。その分足の疲労が若干ごまかされて進めている気がする・・・。
 そう思い立ち止まらずにずんどこ歩くも、目の前にちょうどよさそうな石なんかあるとね・・・腰を下ろしたくなるよね・・・人間だもの。。

 少し休んでもほんとに気休めにしかならない。もうすでに周囲を見回して何かを探す気力もなければ「滝」という看板を見てもガン無視で頂上を目指すことしかできない。歩を進めるも頭の中には
「果たして頂上まで登れるのか、登っても下りる体力はあるのか、むしろ今日中に帰れるのか」
と、くだらない考えが巡って巡って止めどなし。かつて比謝大滝や賀老の滝、サクバルへ泳いだことが同列で走馬燈のように思い出された。


 軽く“後悔”の二文字がちらつき始めたとき、はっと気がついた。
 ・・・音が・・・ない??
 川のせせらぎはなし、生き物の気配もほとんど感じない。時折吹く風が葉を擦らせる音を出すくらいで、周囲は異様な気配がする。ここまで静かだと、ちょっと気持ちが悪い。

 ふと視線を少しあげると、今まで頭上を厚く覆っていた木々や葉が消え、視界に青空が多くなってきた。これは・・・頂上が近い!?

トトロに出会えそうな予感。
 とまぁそうは言ってもすれ違った人の言った「難所」にひどく体力を奪われるし、管理されてなさそうな草ぼうぼうの道を突っ切ったりと、まだ先は見えない。
「この先滑りやすいので注意」
という看板を見た1分後、やはり滑るし。



倒れて仰ぎ見た景色。

 疲れたとかそんな思考すらも完全に飛んでしまった矢先、視界が一気に開けた。

 目の前にあるのは草原。やることはもちろん、倒れ込んで空を仰ぎ見ること!!!どったーん。。

 いい・・・今誰に見られようと、自分にとってはこれが必要なんだ・・・。
 それにヤシの葉から見る太陽がキレイすぎてもう全てがどうでもいい(?)


 しばらく休んだ後、まだ道が先に続いているので5分ほど進むと本当の頂上にやってきた。
 やったよ、やりました!!
 頂上からの景色はまぁ・・・ちょっと微妙なんですが、これで沖縄一高い山を制覇したことになります。ひゃっほう (丿 ̄ο ̄)丿
頂上からの景色。


帰りにちっちゃい滝見ましたよ。
 帰りはそれこそ水を得た魚のように、走っていると行っても過言ではないスピードで滑り降りました。
 もともと山猿なので体力を消費しない下り山道はまさに独断場。誰かと一緒だと必ず後ろを振り返らないといけなかったけど、今日は自分一人。気にすることもない。止まることなく山道を疾走する様子はランナーズ・ハイならぬ、山猿ハイ。
ただし、足を止めると膝どころか足全体が痙攣してるのがわかります。自分の足が窮地に陥ってる(笑

 でも足を止めずに駆け抜けている間はなんでこんなに気持ちいいんだろうと思うと同時に、むくむくと生きる気力までチャージされている気分になった。やっぱすごいよ自然って!

 そんなわけで帰りは周囲の景色も楽しみ、滝も制覇し、登り途中ですれ違った人たちを追い越して約40分ほどで登山口に着きました。はやっ。
 行きはもう本当にしんどいけど、帰りの快感を味わうためだったらまた来てもいいな。もちろん、もう少し体力つけて、、、ね。



 

(2009.05.06)


 

 

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